第17講 労基法3 過去問一問一答肢別
第17講 労基法3
8. 就業規則(法第9章)
(1) 作成及び届出の義務(法第89条)
● Q206.
常時10人以上の労働者を使用する使用者は、始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇に関する事項等法令に定める事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。
【H25-2-19】
A206.
〇
常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない(法第89条第1項)。条文の通りで正しい。
● Q207.
使用者は、法令に基づき作成した就業規則について、法令に定める事項を変更した場合は、行政官庁に届け出なければならない。
【H25-2-19】
A207.
〇
就業規則を作成した場合、行政官庁に届け出なければならないとされているが、労基法に定められた所定の事項を変更した場合においても同様(行政官庁に届け出なければならない)とされており正しい(法第89条第1項)。
(2) 作成の手続(法第90条)
● Q208.
使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者と協議し、その内容について同意を得なければならない。
【H25-2-19】
A208.
×
使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない(法第90条第1項)。同意までは求められていないため誤り。
(3) 制裁規定の制限(法第91条)
● Q209.
就業規則で労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均資金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。
【H25-2-19】
A209.
〇
就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。条文の通りで正しい。
(4) 法令及び労働協約との関係(法第92条)
9. 雑則(法第12章)
(1) 法令等の周知義務(法106条)
● Q210.
労働基準法第106条に基づき使用者は、同法及びこれに基づく命令の要旨、就業規則、時間外労働、休日労働に関する協定等を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によって、労働者に周知させなければならない。
【H25-1-18】
A210.
〇
使用者は、労基法及びこれに基づく命令の要旨、就業規則、時間外労働、休日労働に関する協定等を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によって、労働者に周知させなければならない(労基法106条第1項)。ほぼ条文の通りであり、正しい。
(2) 労働者名簿(法107条)
(3) 賃金台帳(法第108条)
(4) 記録の保存(法第109条)
10. 自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準)
(1) 目的等(基準第1条)
(2) 貨物自動車運送事業に従事する自動車運転者の拘束時間等(基準第4条)
● Q211.
拘束時間は、1ヵ月について299時間を超えないものとすること。ただし、労使協定があるときは、1年のうち6ヵ月までは、1年間についての拘束時間が、3588時間を超えない範囲内において、320時間まで延長することができる。
【H26-臨-20改】
A211.
×
拘束時間は、1箇月について293時間を超えないものとすること。ただし、労使協定があるときは、1年のうち6箇月までは、1年間についての拘束時間が3516時間を超えない範囲内において、320時間まで延長することができる。299時間ではなく293時間であり誤り。本試験では穴埋めで3588時間の方も問われた。
● Q212.
下表は、貨物自動車運送事業に従事する自動車運転者の1年間の各月の拘束時間の例を示したものであるが、これは、改善基準に適合している。ただし、「1ヵ月についての拘束時間の延長に関する労使協定」があるものとする。
【H25-2-22】
月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 1年間 |
拘束時間 | 293 時間 | 282 時間 | 299 時間 | 300 時間 | 285 時間 | 280 時間 | |
月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 3537 時間 |
拘束時間 | 291 時間 | 299 時間 | 305 時間 | 320 時間 | 280 時間 | 303 時間 |
A212.
×
拘束時間は、1箇月について293時間を超えないものとすること。ただし、労使協定があるときは、1年のうち6箇月までは、1年間についての拘束時間が3516時間を超えない範囲内において、320時間まで延長することができる。本問は1年間の拘束時間が3516時間を超えており、改善基準に適合しているとは言えないため、誤り。
● Q213.
下表は、貨物自動車運送事業に従事する自動車運転者の1年間の各月の拘束時間の例を示したものであるが、これは、改善基準に適合している。ただし、「1ヵ月についての拘束時間の延長に関する労使協定」があるものとする。
【H25-2-22】
月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 1年間 |
拘束時間 | 301 時間 | 282 時間 | 293 時間 | 299 時間 | 255 時間 | 272 時間 | |
月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 3482 時間 |
拘束時間 | 299 時間 | 301 時間 | 315 時間 | 299 時間 | 256 時間 | 310 時間 |
A213.
×
拘束時間は、1箇月について293時間を超えないものとすること。ただし、労使協定があるときは、1年のうち6箇月までは、1年間についての拘束時間が3516時間を超えない範囲内において、320時間まで延長することができる。本問においては、293時間を超える月が7ヶ月あり、6ヶ月までと定められた改善基準に適合しているとは言えないため、誤り。
● Q214.
下表は、貨物自動車運送事業に従事する自動車運転者の1年間の各月の拘束時間の例を示したものであるが、これは、改善基準に適合している。ただし、「1ヵ月についての拘束時間の延長に関する労使協定」があるものとする。
【H25-2-22】
月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 1年間 |
拘束時間 | 280 時間 | 315 時間 | 299 時間 | 280 時間 | 275 時間 | 300 時間 | |
月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 3509 時間 |
拘束時間 | 290 時間 | 285 時間 | 300 時間 | 310 時間 | 275 時間 | 300 時間 |
A214.
〇
拘束時間は、1箇月について293時間を超えないものとすること。ただし、労使協定があるときは、1年のうち6箇月までは、1年間についての拘束時間が3516時間を超えない範囲内において、320時間まで延長することができる。本問においては、合計時間が3516時間を超えていない。また、293時間を超える月が6ヶ月であり、6ヶ月までの範囲内である。更に320時間を超える月がないため、改善基準に適合していると言え、正しい。
● Q215.
下表は、貨物自動車運送事業に従事する自動車運転者の1年間の各月の拘束時間の例を示したものであるが、これは、改善基準に適合している。ただし、「1ヵ月についての拘束時間の延長に関する労使協定」があるものとする。
【H25-2-22】
月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 1年間 |
拘束時間 | 291 時間 | 273 時間 | 293 時間 | 310 時間 | 245 時間 | 272 時間 | |
月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 3460 時間 |
拘束時間 | 282 時間 | 294 時間 | 309 時間 | 299 時間 | 270 時間 | 322 時間 |
A215.
×
拘束時間は、1箇月について293時間を超えないものとすること。ただし、労使協定があるときは、1年のうち6箇月までは、1年間についての拘束時間が3516時間を超えない範囲内において、320時間まで延長することができる。本問においては、3月の拘束時間が322時間となっており、320時間を超えているため、改善基準に適合しているとは言えず、誤り。
● Q216.
1日についての拘束時間は、14時間を超えないものとし、当該拘束時間を延長する場合であっても、最大拘束時間は、16時間とすること。この場合において、1日についての拘束時間が15時間を超える回数は、1週間について2回以内とすること。
【H26-臨-19】
A216.
×
1日についての拘束時間は、13時間を超えないものとし、当該拘束時間を延長する場合であっても、最大拘束時間は、16時間とすること。この場合において、1日についての拘束時間が15時間を超える回数は、1週間について2回以内とすること。14時間ではなく13時間であり、誤り。本試験では穴埋めで16時間の方も問われた。
● Q217.
貨物自動車運送事業に従事する自動車運転者の5日間の勤務状況が下の表の通りであった場合、改善規則に基づく1日の拘束時間の組み合わせとしては、1日目12時間、2日目12時間、3日目11時間、4日目12時間である【H25-2-23 改】。
1日目 | 始業7時 終業19時 |
2日目 | 始業8時 終業20時 |
3日目 | 始業7時 終業18時 |
4日目 | 始業6時 終業18時 |
5日目 | 始業5時 終業18時 |
A217.
×
貨物自動車運送事業に従事する自動車運転者の拘束時間を計算する場合の1日始業時刻から起算して24時間をいう。本問においては、1日目は7時から翌7時なので19-7=12時間。2日目は8時から翌8時なので20-8=12時間に翌7時から8時までの拘束時間1時間を足して13時間。同じように計算すると3日目12時間、4日目13時間となるため、本問は改善規則に基づく1日の拘束時間の組み合わせとして誤りである。
● Q218.
使用者は、トラック運転者の休息期間については、当該運転者の住所地における休息期間がそれ以外の場所における休息期間より長くなるように努めるものとする。
【H25-2-21】
A218.
〇
使用者は、貨物自動車運送事業に従事する自動車運転者の休息期間については、当該自動車運転者の住所地における休息期間がそれ以外の場所における休息期間より長くなるように努めるものとする(基準第4条第2項)。条文通りで正しい。
● Q219.
貨物自動車運送事業に従事する自動車運転者が、1日目に9時間、2日目に10時間、3日目に9時間運転した。2日目を特定日とした場合、2日を平均して1日当たりの運転時間について「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準)」に違反している。
【H26-臨-23改】
A219.
〇
1日の運転時間は、2日(始業時刻から起算して48時間)を平均し9時間を超えないものとすること(第4号)。1日当りの運転時間の計算に当たっては、特定の秘を起算日として2日ごとに区切り、その2日間の平均とすることが望ましいが、少なくとも3日間のうち1日目と2日目の平均、及び、2日目と3日目の平均がそれぞれ9時間を超える場合には改善基準に違反することになる。本問では1日目と2日目の平均が9時間30分であり、9時間を超え、2日目と3日目の平均も9時間30分であり、9時間を超える。ともに9時間を超えるため、改善基準に違反していると言え、正しい。
● Q220.
貨物自動車運送事業に従事する自動車運転者が、1日目に10時間、2日目に9時間、3日目に9時間運転した。2日目を特定日とした場合、2日を平均して1日当たりの運転時間について改善基準に違反している。
【H26-臨-23改】
A220.
×
1日の運転時間は、2日(始業時刻から起算して48時間)を平均し9時間を超えないものとすること(第4号)。3日間のうち1日目と2日目の平均、及び、2日目と3日目の平均がそれぞれ9時間を超える場合には改善基準に違反することになる。本問についてみるに、1日目と2日目の平均は9時間30分であるが、2日目と3日目の平均が9時間ちょうどであり、9時間を超えない。1日目と2日目の平均、及び、2日目と3日目の平均がそれぞれ9時間を超えているわけではないため、改善基準に違反しているとは言えず、誤り。
● Q221.
貨物自動車運送事業に従事する自動車運転者が、1日目に8時間、2日目に11時間、3日目に8時間運転した。2日目を特定日とした場合、2日を平均して1日当たりの運転時間について改善基準に違反している。
【H26-臨-23改】
A221.
〇
1日の運転時間は、2日(始業時刻から起算して48時間)を平均し9時間を超えないものとすること(第4号)。3日間のうち1日目と2日目の平均、及び、2日目と3日目の平均がそれぞれ9時間を超える場合には改善基準に違反することになる。本問ではそれぞれの平均が9時間30分であり、改善基準に違反していると言えるため、正しい。
● Q222.
貨物自動車運送事業に従事する自動車運転者が、1日目に11時間、2日目に9時間、3日目に8時間運転した。2日目を特定日とした場合、2日を平均して1日当たりの運転時間について改善基準に違反している。
【H26-臨-23改】
A222.
×
1日の運転時間は、2日(始業時刻から起算して48時間)を平均し9時間を超えないものとすること(第4号)。3日間のうち1日目と2日目の平均、及び、2日目と3日目の平均がそれぞれ9時間を超える場合には改善基準に違反することになる。本問では、平均してそれぞれ10時間、8時間30分であり、2日目と3日目の平均が9時間を超えず、改善基準に違反しているとは言えないため、誤り。
● Q223.
改善基準によると、1人乗務で、フェリーには乗船せず、また、隔日勤務には就いていない場合、使用者は、トラック運転者の運転時間は、2日(始業時刻から起算して48時間をいう。)を平均し1日あたり9時間、2週間を平均し1週間当たり40時間を超えないものとすることとされている。
【H25-2-21】
A223.
×
改善基準によると、本問の場合、運転時間は、2日(始業時刻から起算して48時間をいう)を平均し1日当たり9時間、2週間を平均し1週間当たり44時間を超えないものとすることとされており、40時間としている本問記述は誤り。
● Q224.
運転を開始して、連続2時間50分運転後に20分休憩し、次に連続1時間10分運転後に20分休憩し、さらに連続4時間運転後に20分休憩し、そして連続30分運転して乗務を終了した。この連続運転の中断方法は「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」に適合している。
【H26-臨-21】
A224.
×
改善基準第4条第1項第5号によると、「連続運転時間(1回が連続10分以上で、かつ、合計が30分以上の運転の中断をすることなく連続して運転する時間)は、4時間を超えないものとすること。」とされている。本問においては、最初の2時間50分と1時間10分の運転の直後に20分×2の休憩が入っている。10分以上で、かつ、合計が30分以上の中断のため、その後の4時間連続運転には問題はない。しかし、その後、20分の1回だけの休憩を挟み再度30分運転をしているため、合計30分以上の休憩を挟まずに4時間+30分の運転をしてしまっており、改善基準に適合していない。
● Q225.
運転を開始して、連続3時間20分運転後に5分休憩し、次に連続35分運転後に30分休憩し、そして連続3時間35分運転して乗務を終了した。この連続運転の中断方法は「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」に適合している。
【H26-臨-21】
A225.
〇
改善基準第4条第1項第5号によると、「連続運転時間(1回が連続10分以上で、かつ、合計が30分以上の運転の中断をすることなく連続して運転する時間)は、4時間を超えないものとすること。」とされている。本問においては、3時間20分の運転後に5分の休憩があるが、この休憩は改善基準第4条第1項第5号の定める連続10分以上という休憩の要件を満たしていないため休憩に数えられず、その後の35分の運転と合わせて全て運転時間と数えられる。しかし、3時間20分+5分+35分でちょうど4時間の連続運転の直後30分の休憩を挟み、その後3時間35分の運転を行っており、連続運転時間は4時間を超えていないため改善基準に適合している。
● Q226.
運転を開始して、連続2時間30分運転後に30分休憩し、次に連続1時間30分運転後に10分休憩し、さらに連続3時間運転後に10分休憩し、そして連続1時間30分運転して乗務を終了した。この連続運転の中断方法は「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」に適合している。
【H26-臨-21】
A226.
×
改善基準第4条第1項第5号によると、「連続運転時間(1回が連続10分以上で、かつ、合計が30分以上の運転の中断をすることなく連続して運転する時間)は、4時間を超えないものとすること。」とされている。本問においては、2時間30分+1時間30分の運転をした時点で30分+10分の休憩をとっているが、その後の3時間運転後次の1時間30分の運転までには10分しか休憩を取っていないため、改善基準に適合していない。
● Q227.
労使当事者は、時間外労働協定においてトラック運転者に係る一定期間についての延長時間について協定するに当たっては、当該一定期間は、2週間及び1ヵ月以上6ヵ月以内の一定の期間とするものとする。
【H25-1-21】
A227.
×
労使当事者は、時間外労働協定において貨物自動車運送事業に従事する自動車運転者に係る一定期間についての延長時間について協定するに当たっては、当該一定期間は、2週間及び1箇月以上3箇月以内の一定の期間とするものとする。一定期間は3ヶ月以内であり、6ヶ月としている本問は誤り。
● Q228.
使用者は、トラック運転者に労働基準法第35条の休日に労働させる場合は、当該労働させる休日は2週間について1回を超えないものとし、当該休日の労働によって改善基準第4条第1項に定める拘束時間及び最大拘束時間の限度を超えないものとする。
【H25-1-21】
A228.
〇
使用者は、貨物自動車運送事業に従事する自動車運転者に法第35条の休日に労働させる場合は、当該労働させる休日は2週間について1回を超えないものとし、当該休日の労働によって第1項に定める拘束時間及び最大拘束時間の限度を超えないものとする。条文の通りであり、正しい。
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