第19講 実務上の知識2

第5編 実務上の知識









第19講 実務上の知識








3. 自動車に働く自然の力等

(1) 自動車の走行時に働く力

● 自動車に働く慣性力、遠心力及び衝撃力は、速度の二乗に比例して大きくなることから、速度が2倍になれば4倍に、速度が3倍になると9倍となり、制動距離、運転操作及び事故時の被害の程度に大きく影響する。



慣性力

● 慣性とは、物体が常に現在の運動状態を保とうとする力である。走行中の自動車はそのまま走り続けようとする力が働く。慣性力とは自動車の運転時、走行中にブレーキをかけた場合、前のめりになるような力を感じるが、その力ことである。その自動車に働く慣性力は、自動車の重量に比例して大きくなることから、その重量が増加すればするほど制動距離が長くなる。そのことを考慮した適正な車間距離を確保する必要がある。



遠心力

● 自動車の重量及び速度が同一の場合には、曲がろうとするカーブの半径が2分の1になると遠心力の大きさが2倍になることから、急カーブを走行する場合の横転などの危険性が増す。そのため、急カーブを走行する場合の横転などの危険性について運転者に対し指導する必要がある。



衝撃力

● 重量が同一の自動車2台が、双方時速50キロメートルで正面衝突した場合の衝撃力は、時速100キロメートルで走行中の自動車が壁に衝突した場合と同じで、自分の速度だけでなく相手の自動車の速度を加えた速度で衝撃力が発生するため、常に安全な速度で運転しなくてはならない。



(2) 自動車の走行時に生じる現象

● 自動車の走行時に生じる諸現象とその主な対策に関するものとしては、次のようなものがある。



スタンディング・ウェーブ現象

● スタンディング・ウェーブ現象とは、タイヤの空気圧不足で高速走行したとき、タイヤに波打ち現象が生じ、セパレーション(剥離)やコード切れ等が発生することをいう。これを防ぐため、タイヤが適正な空気圧であることを、日常点検で確認するよう運転者に対し指導する必要がある。



ベーパー・ロック現象

● ベーパー・ロック現象とは、長い下り坂などでフット・ブレーキを使い過ぎるとブレーキ・ドラムやブレーキ・ライニングなどが摩擦のため過熱してその熱がブレーキ液に伝わり、液内に気泡が発生することによりブレーキが正常に作用しなくなり効きが低下することをいう。これを防ぐため、長い下り坂などでは、エンジン・ブレーキ等を使用し、フット・ブレーキのみの使用を避けるよう運転者に対し指導する必要がある。



フェード現象

● フェード現象とは、フット・ブレーキを使いすぎると、ブレーキ・ドラムやブレーキ・ライニングが摩擦のため過熱することにより、ドラムとライニングの間の摩擦力が減り、ブレーキのききが悪くなることをいう。これを防ぐため、長い下り坂などでは、エンジン・ブレーキ等を使用し、フット・ブレーキのみの使用を避けるよう運転者に対し指導する必要がある。



ハイドロプレーニング現象

● ハイドロプレーニング現象とは、路面が水でおおわれているときに高速で走行すると、タイヤの排水作用が悪くなり、水上を滑走する状態になって、操縦不能になることをいう。これを防ぐため、スピードを抑えた走行や、タイヤが適正な空気圧であることを、日常点検で確認するよう運転者に対し指導する必要がある。



ウェット・スキッド現象

● ウェット・スキッド現象とは、雨の降りはじめに、路面の油や土砂などの微粒子が雨と混じって滑りやすい膜を形成するため、タイヤと路面との摩擦係数が低下し急ブレーキをかけたときなどにスリップすることをいい、これを防ぐために雨の降り初めには速度を落とし、車間距離を十分にとって、不用意な急ハンドル急ブレーキを避けるよう運転者に対し指導する必要がある。








4. 交通事故防止

(1) 事故防止対策

● 交通事故の発生の背後には、車両面、走行環境面、あるいは運行管理面などの問題が存在している可能性がある。したがって、交通事故の発生を未然に防止するための対策を講じていくためには、運転者の人的要因とともに、事故が発生した要因について様々な角度から情報を収集、分析する必要がある。また、事故の再発防止対策の検討においては、背後に潜在する危険要因を排除することが重要となる。



① ヒヤリ・ハット

● いわゆるヒヤリ・ハットとは、突発的な事象やミスにヒヤリとしたり、ハッとしたりするもの、つまり運転者が運転中に他の自動車等と衝突又は接触するおそれがあったと認識した状態をいう。ハインリッヒの法則によると、1件の重大な事故(死亡・重傷)が発生する背景には29件の軽微な事故が発生しており、その背景には300件のヒヤリ・ハットがあるとされており、このヒヤリ・ハットを調査し減少させていくことは、交通事故防止対策に有効な手段となっている。



● ヒヤリ・ハット調査は、ヒヤリ・ハットを起こしやすいドライバーを特定し、個人責任の追及のために行うわけではなく、ヒヤリ・ハットの経験をドライバー個人の経験に止めず、全てのドライバーが共有することにより、ヒヤリ・ハットの起こる状況、つまりヒヤリ・ハットの起こる構造性をつかみ、より有効な事故リスクの低減のための対策を講じることにある。



② 指差呼称

● 指差呼称は、運転者の錯覚、誤判断、誤操作等を防止するための手段であり、道路の信号や標識などを指で差し、その対象が持つ名称や状態を声に出して確認することをいい、安全確認のために重要な運転者の意識レベルを高めるなど交通事故防止対策の有効な手段の一つとして活用されている。



③ 交通安全対策のサイクル

● 交通事故の防止対策を効率的かつ効果的に講じていくためには、事故情報を多角的に分析し、事故実態を把握したうえで、(1)事故低減計画の策定、(2)対策の実施、(3)効果の評価、(4)対策の見直し及び改善、という一連の交通安全対策のサイクルを繰り返すことが必要である。



④ 適性診断

● 適性診断は、運転者の運転行動や運転態度が安全運転にとって好ましい方向へ変化するように動機付けを行うことにより、運転者自身の安全意識を向上させるためのものであり、ヒューマンエラーによる事故の発生を未然に防止するために有効な手段となっている。



⑤ シートベルトの着用

● シートベルトの着用は、交通事故にあった場合の被害を大幅に軽減するとともに、衝突時の乗員の車外放出による被害を防止する効果が大きい。また、運転姿勢が正しく保てることにより疲労を軽減するなど交通事故防止上においてもさまざまな効果をもたらすものである。



(2) 運転者に対する指導及び監督

● トラックの運転者は、大型トラックの運転をしたり、多様な環境の下で運転したりすることから、道路の状況、その他運行の状況に関する判断及びその状況における運転について高度な能力が要求される。このため、貨物自動車運送事業者は、トラックの運転者を育成するための指導及び監督を継続的、計画的に行う必要がある。



● 貨物自動車運送事業者は、すべての運転者に対して、事業用自動車の事故防止に関する適切な指導及び監督をしなければならない。



● 貨物自動車運送事業者は、すべての運転者に対して、事業用自動車の運行の安全を確保するために必要な運転の技術及び自動車の運転に関して遵守すべき事項について適切な指導及び監督をしなければならない。




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